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三国志11PK動画「呂玲綺で英雄集結いってみよう」別館

張衛

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「火を放ちことごとく倉廩府庫を焼き、出奔し南山に去り巴中を守るべし」

――羅貫中三国志演義」より




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特技:なし



影の薄い弟

張魯の弟にして、兵を率いて曹操に反抗した人物です。そのせいか、能力値は振るわずとも勇ましく厳めしい顔立ちをしていますね。



歴史書では陽平関で激しく抵抗し、世語には一度は曹操を見事撃退したとさえ書かれています。しかし奇襲により配下の楊任を失い敗走、それでも抵抗を続けるが野生の鹿に陣地を破壊された挙げ句降参したと記されており、物語においては許褚と一騎討ちの末に斬られてしまいます。

華々しく格好良いようにも思える最後ですが、しかし筋を通した割に物語ではいまいち評価されていません。彼を殊更悪玉とする必要性もなく、また曹操に抵抗を続けたという観点からすると演義的には評価が高いとも言えるはずなのに、なんとも腑に落ちない形です。

彼も演義の「犠牲者」?

理由は色々と考えられますが、ポイントとなるのが張魯が蔵に封をするあのエピソードかと思われます。
ゲームにおいて張魯が高い魅力を誇っている所以ともなるであろうこの話において、張衛は若干「損」な役回りを与えられているのです。

曹操の侵攻の前に漢中いよいよ危うしとなったところで、張衛は焦土戦術を主張します。
それを否定する形で、張魯が蔵に封をするわけですね。
根拠は、「民衆のために」。これは演義においてゆるがせにできない価値観であり、それを体現した張魯は大変良い扱いを受けます。

過激な意見を出した上でそれを否定すれば物語効果は高いですし、同時に張衛が抵抗を続けたこともさりげなく織り込んでおり、大変テクニカルなことをやってのけています。
やはり演義の作者はストーリーテラー、エンタメ作者として大変高い技量を持っていると思います。



張衛の字は郭図と同じ?

天師世家(代々の五斗米道=天師道指導者の伝記)の張魯の記述において、「弟衛,字公則,為昭義将軍」とありますが、ゲームでは字が設定されておりませんので、動画でもそれに準じています。




正史の翻訳であまりに有名な井波律子先生が、演義の成り立ちについて語られた書籍。
三国志の歴史」を追究するアプローチは、ただ正史に耽溺する以外にもあるということがよくわかります。